花縄日記

　うま上手いSEX？・へた下手なSEX？
ある日、六時ごろ電話が鳴った。
「サイトを見て聞きたい事が有るんですが」「はい、どうぞ」
「自分はSなんだけど、自己流でSをやって来たんで…」
「はぁ…？…良いんじゃないですか…。みんなそれぞれ自己流
でやっているんだと思いますから…」
「え～…そうなんですけど…、どうも上手くいかないんで～…」
「はぁ～…そ～なんですか…。わたしは人の遊んでいるのを見た
事がないから解りませんが、誰だって上手く行く時もあれば失敗
する事もあるんじゃないですか？…」
「で…、今度スキル・アップ講座に行ってみたいんですけど…」
「はい、どうぞ！…。今回は定員に達したので、次回にでもいか
がですか？…。掲示板とブログでお知らせしますから」

ま～簡単に言えばこんなやり取りが有って、声から想像すると、
４０歳ぐらいかな～、って思いながら話を聞いていた。5・6分
だと思うけど、誰かに傷付けられるような事でも言われたのか、
かなり自信喪失したような話し方だった。

自論なんだけど、SEXに自信持っている人なんて居るんですか？
私は未だ逢った事がありません。「花縄」を始めて３０年近くに
為りますから、他人と話をした人数で言えば、世間一般の人より
かなり多いと思います。「飲み屋」や「サウナ」なら、良い相手に
めぐり合えなくても、何か上手く行かない事があっても、「呑みに
来んだ」とか「サウナに入りに来たんだから…」とか、他人にも
自分にも言い訳出来る余裕がありますよね。
でも、只々SEXしかない「ヤリ部屋」や「SMクラブ」に行って
何も無かったら、かなり落ち込みますよ。お金を貰っている私に
言わせれば、出来るだけ許容範囲を広げて遊んで帰って欲しい。
と何時も思っているんですけど、それが仲々巧く行かなくて…。

で、話は戻しますけど、SEXに上手い下手はあるか？…と聞かれ
たら。「あるよ！」って私は即座に応えます。
それはどう言う事か？…って言えば、相手も自分も満足したら、
それは確実に上手いSEXだという事です。
「じゃ～俺は上手い方だと思うよ」…と自認する人が居たら、
私は「幸せな人生を送っているんだ～」と認めたい気持と、
「井の中の蛙」じゃないのか？…と疑心を持つと思います。
何故なら、女は「女優」の要素を多分に持っていて、「自分に
酔う」「相手に良く思われたい」と言う事を無意識のうちに演
じてしまうからなのです。
それはホモの受身の人にも言える事で、演技をしていると言う
より、ナルシズムの要素が多くて、「あ～俺は男なのに女にさ
れちまうぅ～」…とちょっとでもケツが感じ出すと、頭と体の
葛藤が始まる。
20代のうちはヤリ盛りだから、それでも素直に「受身」として
受け入れる事が出来るが、何人か相手が代わるうちに（あれ？
今日はいつもと違うぞ～！）って気が付きだすと、相手を選別
するようになる。「男らしい顔」「男らしい体」「太い・長い・
堅い…巨根！」など等、挙げたら際限なく要求が多くなる。
ま～普通の女でも、「美男で高学歴で高収入」等と、寝言を言う
女性が多いのだから、顔・体・巨根など可愛いもんである。

３０代になると、そんな理想的な男などいない？…って気付く。
ならば、自分自身がその理想的な男に変身すればいいのだ。
と「女優」心と「ナルシズム」が頭をもたげる。
まずは「ヒゲ」を生やして「男らしい顔」になり、「ジム」に
通って「男らしい肉体」を造る。どうにも為らないのが「性器」
である。神様も意地悪なもので、大・中・小と長・短、その上
持続力まで差別して各人に与える。それでもまだ飽きたらず性格
から経済力にまで差を付けるんだからたまったもんじゃない。

愚痴はそれ位にして…。これだけ変身したんだから「オネエ！」
等と言われたくないし、思われたくも無い！…。自分でも「鏡」
を観ながら「男らしくなった（変身した）」と確認出来たら、
小指を立てずにチンポを立て、オネエ言葉を極力使わないように
気をつけ「オッス！」を連発して。雑誌の企画に「我が意を得た
り！」と、そのまま便乗して「リバ」を自称すればこの世界では
必ず巧く行くはずだ…。…と錯覚してしまう。

４０代になって、それが錯覚であった…と気付く。…のはまだ良
い方で、５０になっても６０になってもその手の雑誌を手放す事
が出来ずに、「リバ」などと称している人をみると、「ごくろう
さま～」と言ってやりたくなる。
何故そうなるのか？、と言えばSEXに自信が無く、自己確立
が出来ないから、他の何物かに依存してしまうからである。
若者がファッション誌に依存して衣服を決めるのと同じで、
個性を主張しているようで、平均的多数に埋没する事で安心し、
超個性的な個人を「侮蔑」と「憧憬」で眺めながら批判し、
平均的以下な人間を「ナンセンス」「田舎者」として“いじめ”
にかかる。それは中学生の「いじめ」のレベルと同じである。

じゃ～どうすればSEXに自信が持て、上手いSEXが出来るか
と言えば、事は簡単！…なのである。
「おのれを知り相手を知る」の一言である。
先にも書いたけど、自分も相手も満足するSEXが基本なのです。
「じゃ～俺は上手い方だと思うよ」って言う人に疑問符を付け
るのは、恋人や同棲相手に言われたならともかく、遊び相手の
一人や二人に「上手いね～…好きだよ」って言われたからって
有頂天になるようじゃ、青二才の寝言と同じで、自分で何を言っ
ているのか分らないからなのです。若者が青二才で自分の言った
事に責任が無いのは当たり前の事（若気の至り）だけど。３０過
ぎの大人が言ったら失笑もので、「じゃ～試そうよ」と迫られた
ら、ほとんどの人が尻込みすると思います。
「己を知る」ってどう言う事かといえば、“い良い”と言われたり
“いや嫌っ！”って言われたり、“良い”と思ったり、“嫌！”と思っ
たり、様々な場所で、色々なホモと出会い、良い思いや嫌な思い
を繰り返し、浮いたり沈んだりしながら、自分を振り返る事が出
来る、って事だと思うんですよ。
嫌な事があると相手の所為にし、良い事があると自分の所為にし
てばかりいたら、何時まで経っても大人には為れませんよね。
ヒゲも日焼けサロンも良いけれど、金メッキは所詮メッキで、
中味は銅だか鉛だか分からないけど、自分の中味は自分で知って
いる訳だから、相手にバレなけりゃいいや！じゃ、詐欺じゃん。

金・銀・銅・鉛かを自分で知るにはどうするか？…。
ホモの理想？…ってありますよね。恐らく一般社会にも通ずると
思うのですけど、ビジュアル（外見的に＝観てくれ）的にまず
第一は「男らしい」って事。趣向的には色々意見は有るでしょう
が、総括的にはそうだと思います。
第二は「容姿が整っている」って事。ま～、この二つが揃って
いれば役者や歌手にはなれるでしょう？（売れる売れないは別）。
第三は「巨根？」である事。ホモに限らず、粗チンよりは中、中
よりは大が良いに決まっていますよね。大きくたってダラーと
していたらかなり問題ですけど。巨根で堅い！…って出合った事
ないので、解りませんが、広い世間には居ると思います。
この三つはどう見積もっても自己判断が出来ますでしょう？…。
自分の部屋に鏡が無くたって、他人と比べりゃいいんだから…。
いや！自分は受身だから男らしくなくてもいい…。むしろ女装し
て女として男に抱かれたい！…って思っている人は別ですけど。
大多数のホモは「イイ男に巨根で貫（つら抜かれ）たい」と願望
し、「イイ男を巨根で犯したい」と思っていると思うんです。
でも、こんな三拍子も揃っている男（金）なんて少ない訳だから、
一つでも欠けりゃ（銀）だし、二つ欠けりゃ（銅）だし、私みた
いに三つとも無けりゃ～（鉛）に決まっている訳だから、どんな
に塩分の多い海（ホモ海）でも浮く訳ありませんよね(;O;)えーん。

で、私はどうしたか！？。幾ら欠陥だらけでも「男が好き！」に
変わりはないし、ホモを辞めるわけにはいかないから、「誰専」
になって、誰でも構わずSEXに励んだ。
その内に気が付いたのだ。自分も含めて結構「寂しがりや」が
多い！…って事に。片意地張っているヤツ程「淋しがり」って
事も。そ～か！…人肌のぬくもりだけじゃ駄目なんだ～…。
「人恋しい優しさ」？？…な～んかそんな感じが好きなんだ～。
って、粗チンを振りふり相手になってくれた人には親切にした。
「お茶飲んで行こう」「朝一緒に帰ろう」とか誘われるようにな
った。幾ら貧乏でもコーヒー代ぐらいはあるから誘いに乗った。
「子供が居るから名前や電話番号はダメだよ」って言うと、
約束の出来ない相手だと納得してくれる。三ヶ月や半年位は
何人かと付き合ったことは有るけど、相手の部屋へは絶対行か
ないし、個人的な詮索はしなかった。「飽き」なんて誰にでも
ある事だし、口には出さなくても素振りで判る。
別れる判断をしたら、河岸を変える。新宿で出会った奴なら、
一年くらいは池袋か上野で遊べば良いのだ。それにしても、
新宿で遭う人たちって、ヒゲを生やしてムキムキになって、
タッーを入れてピアスを嵌めて…。何人かで愉しそうに
攣るんでいるけど背中が淋しそうなのは何故ですかね。余計
なお世話だけど、実家に帰る時どう始末しているんだろ～？。

で、結論。自分に似合った相手とSEXしていれば、そこそこ
愉しいSEX・LIFEは出来るし、自信を持って俺は上手い！と
思って良いと思います。
背伸びばかりして、金・銀ばかりを狙っても、相手に「媚び」
たり「ばか」にされたり、果ては「下手!」などと言われたら
立ち直れませんよね。「顔専」も「体専」も良いけれど、真珠
を入れた「巨根」はグロテスクで、色気も糞もあったもんじゃ
ね～ぜ。本物ばかりじゃないから、「お造り」をした相手と
下手なSEXだけはよせ！…と言いたいです。

で、電話をかけて来た人が、もし「スキルアップ」講座に参加
してくれたら、こう言って自信回復にアシストして上げたい。
「コンプレックスのない人間なんて居ないんだから、ちょっと
でもコンプレックスを解消するように努力するしか、コンプレ
ックスをなくす方法はないと思うよ…」って…。

生まれや育ち、持って生まれた肉体的欠陥は、ＳＥＸの上手い
下手…とは何ら関係ないのだから、「上手い！」…って言われる
ように努力する事は「上手くなる」為の最低条件だと思います。
プライドだけでＳＥＸしたって虚しいだけです。

たかがＳＥＸ、されどＳＥＸ。どうせなら「上手いね～！」と
言われながら（例えお世辞でも）、愉しいＳＥＸを…。