花縄日記

その内、褌がみられなくなるぞ～！
三社祭の宮出しが来年は中止になった。って事が小さく新聞記事に
出ていた。新門の旦那の顔がふっ…っと頭を過ぎった。いつも行く
喫茶店で時々出会う。声を掛けるほど親しい訳じゃないから、話を
したことなどないけど、昔から顔だけは良く知っている。いつも近
所のおかみさん達を相手に、ニコニコと穏やかに話しこんでいる。
「あたしの頼みを聞いてくれ～！」…と、マイクを掲げて絶叫して
いた姿をテレビで観て、いつもと違う真剣な顔付きに驚いたもんだ
った。「違反すると来年から宮出しが出来なくなるぞ～」と、真剣な
表情で悲痛に叫んでいた。たかが何人かの“ヤクザ”の為に伝統あ
る「宮出し」が出来なくなるんだから…。でも、これで三社祭から
“ヤクザ”を締め出す事が出来るんだったら、浅草全体にとって、
良い事なのかもしれませんね。

新聞によると、東京都台東区の浅草神社と同神社奉賛会は２４日、
三社祭メーン行事で、境内から本社みこし（三基）を担ぎ出す「宮
出し」を来年は中止すると発表。今年の祭りで都迷惑防止条例違反
（混乱誘発）容疑などで７人が逮捕されるなどしたため。とあった。
逮捕者の内の何人かは、全身に入墨を入れ、褌一丁で神輿の上に乗
って扇動した。それが都条例に抵触したと言う意味らしい？。
逮捕者が出たと言われた当時の記事に「見せびらかしたかった」と
言った？…、と言うような記事を読んだ記憶があって、“やっぱり”
…と私は思ったもんだった。ま～、色々な思惑が入り混じって、浅
草に住み商売をしている人たちの治安に対する要望や、それに応え
ようとする警察。繁華街を食い物にする“ヤクザ“など、三者が三
つ巴の感情でぶつかり合い、「三社祭」と言う舞台で出た結果が、都
条例違反…なのである。
表向きの言い方としては、「神輿」は神様が乗る「輿（乗り物）」だ
から、人間が乗るのは「ケシカラン！」…。と言う事らしい？。
玉の輿（ヒルズ族）なら、女の人は幾ら乗っても良いそうだ…。
が、私の知っている浅草の女（ひと）は「…と言って、幾ら金を
積まれても、嫌なもんはイヤだね！」…っと、今時博物館にでも行
かなきゃ聞かれないような“セリフ”を平気で言っていた。

江戸三大祭…と言えば、昔から「神田祭」「山王祭」の二つだけは
間違いなく決まっていて、残りの一つはその土地によって「俺の所
がそうだ！」と言い張る？…ので、決まっているようで決まってい
ない？…と言うのが定説である。浅草の人は「三社」、深川の人は
「富岡」と言い、「鳥越」だと言う人もいる。
神田・山王・富岡・鳥越…はそこそこ人出はあるが、圧倒的に多い
のは「三社祭り」である。１００万人位の人出があるそうだ。
何故か！？…。正論は江戸時代からの歓楽街だからである。…が、
果たしてそうだろうか！？。レトロ調が流行っている？…と言われ
ているが、今の浅草に懐かしがる程の景色や風情、情緒や人情など
が残っているんだろうか？。本当に今時の若者がレトロなるものを
求めている…とは思えないのである。ユカタを着て花火を見に行く、
って言う事が流行いる、…って言われて久しいけれど、ピアスを耳
に付けてサンダルを履いて、太モモを出したユカタを着て…。男友
達と出かける単なるイベントとしてのファッションであって、花火
も浴衣もレトロも関係がないのである。その手の業界の宣伝に扇動
されているだけなのである！？。と言ったら言い過ぎだろうか…。
だって、「バレンタイン」のチョコレートがそうだ！…ってことは、
世間では周知のことである。…が益々盛んになっていると言う事も
これまた周知の事実ではある。

私など斜（しゃ）に構えたホモとしては、裸や褌や入墨はダメ！？。
って言われたら、「んじゃ～三社祭りで何を見るの～！」って浅草
の商店街の人々に聞きたくなってしまう。そりゃ～怖いから、新門
の旦那にそんな事は聞き出せないけど、真面目に質問したら、真面
目に答えてくれる、…って約束の上なら是非聞いてみたいのである。
祭り…って江戸時代から庶民の楽しみで、ちょっとエロっぽい所も
あって、大いにはしゃいで喧嘩騒ぎを起したって、聞いていたよ。

何で“やっぱり～”と思ったかと言うと、ホモの人で入墨（タツー
と言うのとは大分違う）を入れている人を何人か知っているけど、
さっきの逮捕者と同様「みせびらかしたい～！」…、っと思ってい
る人を何人か知っている。その内の一人などは入墨を「マンガ」と
言っていた。昔から入墨を「我慢＝ガマン」と言う。その「ガマン」
を芸能人張りに“逆さ読み”して「マンガ」と言っているのである。

日本橋の上の高速道路だって「見苦しい」けど、浅草の「サンバ」
だって相当「ナンセンス」で「見苦しい」ぜ！…。「男の裸がいけな
くて、なんで女の裸なら良いんだよ～！」って言いたい！…よ。

浅草の町は生まれた町（故郷）に近いし、決して嫌いじゃないけど、
商業主義一点張りじゃ～なく、確かに“ヤクザ”は嫌だけど、もう
少し庶民のささやかな楽しみ（ちょっと気が引ける）を残してくれ
てもいいんじゃない！…。神田や山王さんは褌は勿論、裸なんてト
ンでもない！？…って言うお祭りだから、確かに伝統をは有るけど
ホモの人達は観に行かないし、下谷や鳥越・富岡などは少し位は居
るけど、浅草に比べたら雀の涙ほど？…である。
私だって“ヤクザ”が神輿の上に乗るのは反対だけど、町会のお墨
付きの正業者（？）の入墨を入れた若者なら、三社（三人の漁師）
さんだって決して怒らないと思うんだけど～？…。

その内…浅草の祭りから褌姿が消えるのも時間の問題かも…。
（株）新門は伝説のとび職「新門辰五郎」の流を組む一家で、今も
浅草でドーンと、しかし地道に誇り高く正業に励んでいる会社です。